第4章 居所
沖矢said
名前の光の入っていないその目は悲し気で手の届かない所に行ってしまった人を思い出させた。
名前「?…なんだ?」
気付けば名前の頭を撫でていた。
触れられる場所にいる事に安心している自分がいる。
沖矢「…撫でやすいので」
彼女の頭を撫でていると後ろの人がよろけかけるのに気付いた。
そのまま名前の後頭部に手を滑らせると自分の方へ引き寄せる。
腕の中に名前を収めたが狭過ぎた通路で
その人は名前の背中にぶつかってしまった。
「すみません。」
名前「???」
何が起きたのか自分も悪かったのかと考えているようで普段なら気づけていただろう彼女は“洞察力”を上手く使えていないようだ。
沖矢「大丈夫ですよ。」
名前の代わりに応えるとその人は頭を下げて遠ざかっていった。
名前「…そろそろ離して欲しい」
沖矢「…」
不思議な感覚がした。
名前が顔を上げて俺を見つめる姿を、どこかで見たような。
名前「…聞いてるのか?」
その眉間に皺が入った顔を、このくらいの距離で。
何らかの愛しさが込み上げてきて名前の額より少し下の位置に口付けると後ろから鏃が飛んできた。
灰原「デートじゃないのよ貴方達2人だけのね。」
名前「濡れ衣。」
灰原「あらそう?」
沖矢「人とぶつかりそうだったもので。」
怪訝そうな顔をされたが気にせず名前から手と身体を離した。
名前「哀ちゃん、その辺りを1人で見て回りたいんだけどいいかな?発信機、起動させておくから」
バングルに内蔵されている発信機の電源を入れながら話す名前をじとっとした目で見つめて数秒後、ため息混じりに遅いようならこの人に迎えに行って貰うからと言いながら俺を指差した。
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