第4章 居所
ふと沖矢さんに視線を向けて酔いの程度を観察しようとする。
沖矢「阿笠博士の家で居た時と随分話し方が違いますが、何か理由でも?」
音量低めで話しかけてくる沖矢さんは大分酔いが醒めているのだろう。酔っていても会話を聞き逃さず覚えているとは流石だなと感心した。
名前「…ええ。」
勘繰られたく無い理由はこうだ。
ただ捜査に派遣されている場合か、理由を聞かされていない要請への対応かの違い。
阿笠博士の家で居た時にかかってきた電話はSWATに派遣したヒロからのもの。
正確にはキャルを経由している訳だが
その内容は「捜査に行き詰まった、空港に入り込んだ犯人達の赤い車がどこにも無い。俺達の車は逃走車両にぶつけられた一般人の救護にあたる為に停めてしまったから追えなかった。」というものだった。
“赤い車”と強調して話されれば“色以外”を他の捜査官が見ていない事は手に取るようにわかる。
そしてぶつけられた車が有るのなら当然逃走車にもぶつかった痕が有る。
それを色に囚われず車の外傷で判断する様にと話せば直ぐに見つけたのだろう。その通話でお礼を言われ切られたのだ。
沖矢さんが振った話を思い返しているとキャルのお陰ですっかり熱は消え去っていると感じた。
阿笠「着いたぞ。」
地下駐車場に入った車を降りて向かったのは3階の洋服店が並ぶエリアだ。
…哀ちゃんって女性らしく服好きだな。あまり被ってる服も見た事がないし…
服に興味が無い私は哀ちゃんが選んでいる姿を眺めた。実に楽しそうだ。
沖矢「…名前さんは本当に服に興味示さないですね」
名前「……たったそれだけの事で人の見る目が変化する。それは中身の人間を見ていないようで、嫌いなんだ。…必要最低限でいい。」
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