第4章 居所
沖矢「…何か不安な事でも?」
名前「……そうじゃないです…」
沖矢「……敬語。」
名前「!…」
沖矢「距離を取ろうとするか何らかの理由がある時、敬語を使ってますね?」
名前「…大丈夫…だから」
沖矢「本当か…?」
薄く目を開けグリーンの瞳が見えるとベッドの上の事を思い出してまた顔に熱が籠る。
耐え切れずにまた窓の外へ顔を逸らした。
其処へ私の携帯が着信を知らせ、電話に出る為に繋がれた手を離した。
名前「…もしもし?」
電話を出るタイミングにはいつもの声で出られる。さっきまでの熱は何だったのかと思った。
キャル『こんにちは。ご依頼の件につきましてお電話させて頂いております。フランシスロイル様は現在、療養中でした。その経緯についての捜査は未だですが引き続き行いますか?』
キャルの発言は隠語で隠されている。
私が“もしもし”と言って出た場合、そうなる手筈だ。
フランシスロイルなんて人が居るのかどうかは問題ではない。イニシャルFRを告げるという事はフランスに本部を置くICPOから依頼が来たという事だ。
療養中という言葉は医療師であるフィルを指している。
この出鱈目な話はICPOからフィルに要請が来ているという事になる。
こちらの本部に置いている人間が減るのは今は得策とは言えない。どこかにフィルを派遣するなら松田かヒロの所に行って欲しいものだ。
更に“経緯についての捜査は未だ”とはICPOの派遣要請に対する理由を聞かされていない事だが、それを拒否する場合は打ち切りと言う言葉を使う。
名前「いや、捜査は打ち切ってくれ」
キャル『畏まりました。では、失礼します。』
通話を切り携帯をポケットにしまう。
こういう電話の掛け方をあまりしない為か無駄に頭を使って疲れているキャルの姿が目に浮かんだ。
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