第4章 居所
上から見下ろす形になると彼女の首元から襟の内側が見えて触れられる距離に居るのに触れられないもどかしさを疎ましく思った。
名前「…えっと…散策…しに…」
沖矢「…今日、この後ずっとですか…?」
名前「っ……」
灰原「…私と約束があるのよ。この後街を散策してそれから外で夕飯。此処に帰る頃は何時になっているか分からないの。」
沖矢「…そう、ですか…」
明らかに助けた様に見える少女の発言に言い返す事は出来ず、嘘だろうとそれに取り敢えず納得の意を示した。
降谷君の所に行くと言われなかっただけマシだと言い聞かせて。
手を離すと名前は何も言わずに少女を抱き締めていた。すりすりと頬擦りして嬉しそうにしているその姿に微笑ましくなっている自分がいる。
だが一応、
沖矢「阿笠博士と私も同行します。…相変わらず予告の無い気絶はするんですよね?」
名前「…まぁ…」
納得はしていない様だが2人で居るよりは名前が納得してくれるなら、近くで居るだけでも良いと考えていた。
沖矢「博士を呼んで来て下さい。車を用意してきます。」
名前said
沖矢さんが部屋を出て哀ちゃんをもう一度抱き締めた。
「ありがとう。助かった。」
灰原「はいはい分かったから離れなさい。でも彼気付いてるわよ。」
「それはいい。ただ今2人はキツいから。」
灰原「さっきの事で貴方には迷惑掛けたと思ってるから、これくらいの事いいのよ。博士を呼んでくるわ。」
哀ちゃんに分かったと言うと、哀ちゃんは博士を呼びに向かった。
“この記憶を、彼は持っていない”
それを理解した上で“普通に接しなければ”
これまでもやってきた様に。
灰原「博士もすぐ来るって。外に出ましょ。」
名前「あ。博士の運転だね。沖矢さん呑んでる。」
灰原「全く…昼間から良くやるわね。貴方も飲んだの?」
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