第4章 居所
パキッ
手元を見るとピスタチオの殻を割っている事に気付いた。
一瞬にして記憶がフラッシュバックする。
額に手を当て俯くと事の発端である彼が声を掛けてきた。
沖矢「どう…しました?…流石に酔いが回りましたか?」
いっそ酔った事にしようかと思ったがそれはそれで今後面倒になっても嫌に感じて黙ってしまう。
名前「……」
沖矢「…具合でも悪くなりましたか…?」
このままでは勘違いさせて不安を煽るだけだろうと腹を括り、顔を上げた。
手で口元を隠して。
名前「そういうんじゃないから。大丈夫」
沖矢said
心配をしていたが、具合が悪いというより口元を隠されていても分かる程、名前の顔は何かに照れている様に見えた。
何が恥ずかしいのかは分からないが。
ただ、もっと近くで見たくなって
顔を近づけると、名前は後ろに身体を仰け反らせていく。
その内俺はカウンターが邪魔で名前は椅子から落ちそうで、丁度良く作られたこの設備に苛立つ。
仕方無く身体を戻すとその光景を見ていた少女が声を発した。
灰原「何やってんの?」
名前「お…沖矢さんが近付いてきて…」
沖矢「…」
完全に俺のせいになったな。
頬が赤い理由が知りたかったのにも関わらず、“この状況”を見られてしまっては子供の様に言い返す事も無いだろうと黙る。
灰原「…鳴ってるわよ貴方の携帯。」
名前の方を見て出る様に催促する。
携帯を取り出し、画面を見るとため息をつきながらいつもの表情に戻った。
名前「…ああ、それなら“フィルムだ”と伝えろ。色に囚われるな、外傷を伝え見て疑と。……そうだな、今日は戻れそうにない。…戻る前に連絡する…ん。」
“今日は戻れそうにない”…?
その発言が気になり、電話を切った名前に聞いた。
沖矢「…何か予定がありましたか…?」
名前「!…」
手を握って話しかけたせいか、手元を見て俯く名前。
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