第3章 追憶
沖矢「では、そのように。…次は何になさいますか?」
ゆっくり飲むとは言いながらそのペースは普通よりは早い。それでも彼女なりに遅くしているようで一気飲みはしないようにしたようだった。
名前「んー…“カミカゼ”かな」
沖矢「?…なんです?それは」
名前「…“カミカゼ”は…」
席を立ってカウンターの内側へ移動してくる彼女の邪魔にならない位置に避けて眺めるとライムを絞り、シロップと混ぜ合わせてライムジュースを手際よく作る。
名前「第二次世界大戦の終わり頃、大体1945年から1952年の間くらいに横須賀基地に所属していた人が名前をつけたとされているらしい…」
話しながらシェイカーにウォッカとキュラソー、ライムジュースを同じ分量で入れるとそれに蓋をしてゆっくり振り始めた。
名前「当時のアメリカ人には神風特攻隊という日本の部隊が衝撃的なだったそうだ。国の為と命をかける彼らのその姿がな…」
途中で激しく振ったシェイカーを再びゆっくり4回振るとそれを止めてグラスに注いだ。
沖矢「…カクテル言葉はありますか?」
名前「“ あなたを救う ”」
今度は彼女から差し出されたグラスを受け取り、飲むとある事に気付いた。
沖矢「…バラライカに似ていますね」
名前「ジュースがレモンかライムの違いだからな。ただ泡立ちやすいからそれが難しいらしい。」
“らしい”という辺り、名前には難しい事ではないことが分かる。
それを飲み干すと自分の体温が上がっていると感じてシャツのボタンを2つ外した。
チョーカーが見えるだろうが此処には知っている人が多い為問題ないだろう。
名前「…似ている続きでサムライを作ろうと思ったけど、日本酒が無くてできないな。…ジントニックにしようか」
沖矢「…また20度ですか?」
名前「気付いてるだろ?最初からずっと20度以下で頼んでいない事に」
沖矢「ええ。…」
そしてまだ気付いていることがある
名前は強い言葉を持つカクテル以外を頼んでいない。
.