第3章 追憶
名前「……このデバイス…」
沖矢「…?…どうかしました?」
名前「…いや、なんでもない…」
名前は何かを決めた様に真っ直ぐ何処かを見つめていた。
灰原「…少し疲れたわ。横になってくるわね。」
阿笠「ワシはこの辺を片付けておくかの」
メインフロアのキッチンに移動して飲み物を出そうとし始めるとそれを察知したのか名前はカウンターの椅子に座った。
名前「ここって少しだけバーカウンターっぽいよね」
沖矢「では差し詰め私はバーテンダーですか?」
名前「おまかせで」
悪戯っぽく笑いながら話す彼女を少し脅かしてやりたくなり、フレアバーテンディングをフリースタイルで決めていくと名前は見たことのない動きだと目を輝かせた。
名前「…人を楽しい気持ちにさせる動きだ…で、ボトルを過去何本割った?」
沖矢「俺が割るとでも…?」
名前「正直に。怒らないから」
態と煽ってくる名前の発言に口角が上がっていくのを感じて観念したと手の平を見せた。
沖矢「1本だな」
ニヤリと笑う名前を眺めて
沖矢「割ったのはバーボンのボトルだ」
そう続けて話すと名前は楽しそうに声を出して笑った。
名前「ボトルが独特で重いから落ちるまでの時間が早かったんでしょ?それにしても“ニューヨーク”を提供するなんて可愛い注文をしたんだな。その人」
沖矢「…そうだな…だが、何故ニューヨークだと分かった?」
名前「バーボンには殆ど炭酸水が使われるか、ステアするかでシェイカーは使わないからなボトルを割るような動きをしたなら炭酸は使い辛いだろうと思っただけだよ」
沖矢「名前…」
名前を呼べば、ん?と頬杖をついたまま眺めてくる此奴の耳元へ顔を近付けて
“ お前を酔わせてみたい ”
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