第3章 追憶
彼と名前が入ったカプセルを連れた状態でギリギリの所を擦り抜けれた。
沖矢『…安全域に連れて来ました。カプセルから出しますので、其処からはお願いします。』
灰原『了解よ。…貴方も戻って。…有難う』
珍しい台詞が聞けたと驚いていると彼が話しかけて来た。
××「ありがとねー。また会おう」
ひらひらと手を振って名前も聞いていない彼は去って行った。
カプセルを開けて待っているとやがて名前はキラキラとした光に包まれてその姿を消した。
ーー外部からのリンク切断を確認しましたーー
ーー安全にログアウトしますーー
ーーお疲れ様でしたーー
耳から聞こえて来る音を不愉快に感じた。
イヤホンを外しながら横で目を瞑っている名前を眺めて頬に手を伸ばす。
大きく息を吸って、ため息を吐いたその口がゆっくり動いた。
名前「…騙された。」
沖矢「…フッ」
ぼそっと言った言葉に久しぶりに大きく笑った。名前が現れて、別の世界から聞かされ笑った時振りだろう。
沖矢「…おかえり。」
名前「!…その笑顔は狡いな。…ただいま!」
沖矢「…」
名前の顔にゆっくり近付いて手を添えたまま反対側の頬に口付ける。
沖矢「人の事が言えるとは上等ですね。…名前の笑顔だって狡いだろ…」
近付いた頬から反対側の手から頬の熱を感じる。
助けられて良かったと安堵していると頭に軽い衝撃を受けた。
灰原「連れ帰ってくれた事には感謝しているけれど、私と博士の前で堂々とそれはやめてよね」
阿笠「これこれ哀くん…しかし本当に良かった」
手を軽く振って笑う名前は阿笠博士に
名前「この出来損ない貰うからな!」
と言った。
沖矢「…次は助けられないかもしれないですよ?」
名前「これでは、2度と入らないよ。ただ、研究はできる。分解して調べる」
沖矢「…ハァ…次入る時は私も同行します。貴方は危ない。」
名前「…必要以外には入らないし同行もお願いするよ。」
意外だった。素直に受け入れるとは思わなかった。
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