第2章 契約
適当な大通りに出てタクシーを捕まえる。
行き先を告げ、軽く目を閉じているとあっという間に阿笠邸に辿り着いた。
タクシーを降りて阿笠邸に入ると哀ちゃんと博士が円卓で何かを広げていた。
名前「博士が面白いモノ作ったって聞いて来た。」
灰原「早かったわね。これよ」
哀ちゃんの手にはワイヤレスイヤホンのような物が置かれている。
阿笠「名付けて“シェアデバイス”じゃ!」
名前「何をどうシェア?」
灰原「生体そのものよ。…博士が、貴方の記憶データが多過ぎていつか一杯になってしまうんじゃないかって、懸念して作ったのよ。」
名前「それは有難い。自分の脳の容量は分からないからな、データとして保存出来るなら気にしなくて良い。」
そもそも心臓が無いようなもんだから脳があるのかも疑わしいが、此処でそれを口にしては会話がややこしくなるので飲み込んでおいた。
髪を結いながら博士の話を聞く。
阿笠「ただ耳に嵌めて貰えば良いんじゃ」
名前「……((何処かの小説で見た事あるな))…データの中から出れなくなったりしないか?閉じ込められたり。」
灰原「は?何言ってるの?」
阿笠「いやいや、ワシと哀くんが全面バックアップじゃ、そこは安心してくれ。五感は全てリンクするが、記憶はそういったものに連結しておるからの。それは部別できんのじゃよ。」
灰原「既にこのデバイスを博士が売ってしまって。ユーザー数も多いから、安心して使ってもらえるんじゃないかしら。」
阿笠「お陰でガッポガッポじゃ」
ーーああ、その台詞映画か何かの時に言ってたな。眼鏡逆光で光ってて怪しい感じが良かった気がする。ーー
.