第2章 契約
名前「多いなんてもんじゃない。…ある人が言った。秘密を着飾って女は美しくなると。だがどうだ…私はこの身を既に着飾れない程、秘密しか抱えていない。…その内埋もれて窒息しそうだよ…」
松田「!…」
フィル「……」
名前のどんな顔を見たのかオレの位置からは見えなかったけど、松田は驚いて近付けていた身体を離し、元の位置に座り直した。
フィルは名前の頭を優しく自分に傾ける様にさせてポンポンと撫でていた。
暫くして東都水族館と呼ばれた場所が見える位置に来た。
話に聞いていた2輪の観覧車はノアの話した事件の後、元に戻したようであちら側とこちら側で行き交う様に回転している。
名前「…どんなに何らかの変化を付けさせようと、時間の流れは変えられないんだ。
失ったものは、失ったまま。
もし、松田。君が彼らの前に戻ったとしたら
彼らは喜んでくれると思うよ。
ただそれは、この変えられない時間を
捻じ曲げる意味のある行動に
なってしまうんだ。
例えば、“3年間どうしてたんだ”と言われたらなんて答える?
答えられたとして、彼らがそれを信じて何も探らずに居られる程、彼らは無能か?
私の事は構わない。
だが少なくともヒロは、黒の組織に命を再び狙われ、潜入している降谷零は殺される事になりかねない。
…そういうのを考えた上で今後は行動してくれ。」
松田「…わかった。」
一頻り車で走り回って街を眺めた。
当時とは何もかもが変わっていて少し寂しくも感じたが、大まかな部分が変わっていない事に安心もしていた。
名前は渋谷を眺めた後、ポアロという喫茶店に向かうように言った。
名前「5ブロック手前で降ろせ。6ブロック先で合流する。」
キャル「了解ですけど、そんなに距離取るんですか?」
名前「彼にはそれでもバレるかもしれない。…ヒロ、松田。店の前を通過する時、見過ぎるなよ」
「どういう事?」
名前「降谷零は安室透という偽名でポアロで働き、ある人物の動向を見張りながら護衛している。」
松田「…相変わらずだな」
キャルは車を停車させて5ブロック手前と伝えた。名前と何処で落ち合うか話した後、発車させた。
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