第2章 契約
ヒロsaid
名前「……シオン、松田には“征圧”以外の武力行動を行うな。」
シオン「…」
余程不服なんだろうな、普段なら一度言われれば直ぐに“了解しました”という場面でシオンは返事をしない。
名前は折角整っている髪をぐしゃぐしゃにしながら溜め息を吐いた。
名前「…ハァ……シオン。…おねがい。」
シオン「ッーー…」
ヒロ.××「「!」」
シオンの指を彼女の手が握って身長差で下からそんな風に見つめられたら男女問わず抗い辛いだろう。
極め付けはその甘ったるい声だ。聞いた事がない。命令や指示を出す時は勿論、普段聞かない声に同じ声帯かと疑うくらいだ。
シオンは名前のその声に暫く耐えていたが、諦めたように小さな声で分かりましたとボヤいた。
松田には後で除隊した奴の話をしようと心に決めた。
名前「で、彼の呼び方だが…」
清々しい程に声を戻す彼女を直視すると、まるで何も起きていない様だ。その空気感にはまだ慣れず松田と視線を一瞬交わすと笑いが込み上げて来た。それは会話を遮る程では無く、僅かに漏れる程度だ。
シオン「本名、松田陣平。取り分けあだ名などは無く姓名のどちらかで呼ばれているようです。」
名前「……呼びづらいな。」
シオン「我々は司令の呼び方に合わせます。」
名前「…普段は“松田”。言うこと聞かせたい時と腹が立ってる時は“陣平”。コレでいいんじゃない?」
松田「 おい 」
シオン「それでは私は常に“陣平”と呼ぶ事になりそうですね。」
流れるような会話にオレは松田もこの場に慣れてくれそうだと安心しながら笑った。
フィル「…僕は常に“松田”と呼んだ方が良いですか?司令。」
奥から眼鏡をかけたフィルが現れると松田は目を見開いた。
ーーそうだよな…ーー
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