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OH CHERRY!─山コンビ─

第10章 過ぎた恋の話し







松岡さん……昌宏


僕は、本当に……貴方を愛してた





それが決して赦される事のない愛だと知りながら


己の良心に背いてまでも共にありたいと願うほどに





永遠に、愛人でありつづけるコトが解っていても


その、幻の愛に縋り付いてしまうくらいに





貴方のコト


…愛してたよ





でも、僕はもう、振り向かない


真っ直ぐに前を向いて歩いていくと決めたから…





昌宏……僕の愛しい偽善者


どうか、僕を忘れて


僕と貴方の二人で見た幻を


……忘れて下さい







「……お客さん、大丈夫ですか?」


声もなく、大量の涙を流す僕を見て

タクシーの運転手さんが心配そうに声を掛けてきた


僕はポケットからハンカチを出してソレを拭うと、運転手さんに言った


「ちょっと目が痛くて……でも、その内治まりますから、大丈夫です」

「……そうですか」


僕は、我ながら下手くそな言い訳だな、何て思いながら、窓の外を見た

暗くなった車窓に映る、自分の泣き顔を見て、思わず笑いが込み上げる


(…目が痛いって顔じゃないじゃん(苦笑))


真っ赤になった自分の顔を眺めながら、翔くんの事を思い出す


真っ赤になって、一生懸命ハジメテに挑む、可愛い人

…僕の、可愛いさくらんぼ


「………待っててね、翔くん……僕が、必ず……」


必ず、君を男にしてあげる





間もなくして

タクシーは、翔くんの待つホテルへと到着した



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