第8章 因果呪縛を解く
この時、伽那夛は任務完了を確信していた。
難なく破壊したと思った伽那夛の目は大岩の下へ……
「……穴?」
底の見えない深い穴がある。
ちょうど大岩が蓋をしていたような形だ。
次の瞬間、生ぬるい風が頬を撫でた。
「っ!?」
この中、呪力で満ちている!
ただの穴じゃない……!
伽那夛が身構えると同時に穴から無数の呪霊が湧き出してきた。
くらイィ、サむいィ
ここカらダシテ
許しテぇぇえ
数え切れない程の呪霊の大群に一瞬で囲まれる。
「何なのよ、これっ!?」
囲まれてこちらに向かってくるだけならまだいい。
問題は伽那夛を無視して山を下ろうとする群れだ。
呪物の破壊任務だったためこの下にある村には避難指示を出していない。
伽那夛なら呪霊より先に村まで行けるが、今から呼びかけても高齢者ばかりの村では避難が間に合わない。
ここで倒し切るしかない。
術式を発動し、素早く呪霊を狩っていくと同時に呪力を全方位に放出する。
伽那夛の呪力特性は電気と同質だ。
放出された呪力は電撃となって空へ、地面へ、呪霊伝いに稲妻のように走り、離れた場所にいるものもまとめて祓う。
だが、穴から噴出する呪霊の勢いは収まるどころか強まる一方だった。
「山神が悪霊を倒したなんて嘘!出てこないように蓋をして閉じ込めていただけじゃない!!一体何匹閉じ込めてたのよ!?」
思わず飛び出た悪態と共に数十匹をまとめて祓う。
おびただしい数の呪霊を手当たり次第靴で切り裂き、電撃を放ち、次々と祓う中でも見落とさないように山を下りようとする呪霊に目を光らせる。