第8章 因果呪縛を解く
廉直女学院が呪詛師の襲撃を受けた翌日の昼、五条家から伽那夛に新たな知らせが入った。
あまりに信じられない内容に一度では理解が追いつかず、聞き直してもやはり信じ難く、問い詰めたい気持ちをぐっと飲み込んで電話を切る。
そして、大きく息を吸って空へ叫んだ。
「どうして沖縄になんて行ってるのよ!?遊び?遊びなの?何なのよーっ!!」
こっちは真剣にやっているのにそれを嘲笑うかのように沖縄に遊びに行くとは……!
つくづく悟はこちらの神経を逆撫ですることしかしない。
盤星教が星漿体の付き人と人質交換を要求した場所が沖縄だったとは露とも知らない伽那夛は思い切り壁を殴りつけていた。
さらに、羽田空港に呪詛師が複数人いるということで、今度は高専から任務の通達が入った。
東京高専の人員が星漿体護衛任務の補助に割かれており人手がないため、京都高専所属の伽那夛にも呪詛師捕縛の任務が割り当てられた形だ。
伽那夛が羽田空港に到着すると、呪詛師の姿が嫌でも目に入ってきた。
人目を気にせず式神を出している者、呪符や呪具を携えている者、剣呑な雰囲気で空港の利用客を睨む者……
東京高専側の人員が他の任務でいないことをいいことに出てきたのか、ざっと目に入る範囲だけでも5人はいる。
気絶させて人目のない場所まで持っていこうか、まず人目のない場所まで追い込んでからの方がいいか……
思案していると、再び五条家から連絡が。
『悟様は今日の夕方に那覇空港を出る。羽田に到着されるまでにそちらの呪詛師を一掃しておけ』
一方的に命令だけして切られた通話に伽那夛は舌打ちしたい気持ちをぐっと堪え、空港に集まった呪詛師に思考を戻す。
なぜこれだけの呪詛師が集まっているのか疑問だったが、星漿体がここに来るのを待ち伏せしていると考えると辻褄が合う。
だったらその情報源がどこなのかも分かるかもしれない。
どうやって聞き出してやろうかと考えていると、その思考を遮るようにまたも着信が入る。
『フライトの時間変更だ。明日の昼過ぎに羽田に着く。それまでに……』
伽那夛のこめかみにピキリと青筋が浮かんだ。