第8章 因果呪縛を解く
一方その頃―
「……撒かれたわ!!」
駐車場に停められた車の前で伽那夛は悔しげに地団駄を踏んだ。
目の前の車はつい先程まで孔が乗っていたのだが、中はもぬけの殻。
孔を尾行すればいずれ暗殺依頼をした盤星教の人間に繋がると考え、孔の車の排気筒に呪力を込めて辿っていたが、途中で車を乗り換えられてしまった。
まさかここまで用心深かったとは。
でもこんなことで諦める訳にはいかない。
今のところ頼みの綱は孔しかいないのだ。
せっかく交渉カードが揃ったのに、盤星教と交渉できずに終わることだけは何としても避けたい。
再び孔が現れるのを待っている方が確実かもしれないが、時間の惜しい伽那夛は急いでタクシーを捕まえ、駄目元で星漿体の通う廉直女学院へ行ってみることにした。
運転手に行き先を伝え、タクシーが走り出すと、伽那夛はふぅと息を吐いた。
窓の外を流れる景色はいつもの日常のように見える。
だが、今この時も星漿体を狙う呪詛師が女学院に向かっているかもしれない。
女学院まではまだ少し距離があるというところで、なんとなく対向車線を眺めていた伽那夛は大きく目を見張った。
今、すれ違った白いワゴン車、運転しているのは孔じゃなかった!?
見えなくなる前にワゴン車のナンバーを確認し、運転手に声を掛ける。
「停めて!ここまでていいわ。ありがとう」
手早く精算を済ませると、急いで外へ飛び出してワゴン車を追う。