第8章 因果呪縛を解く
「あなたが九十九由基さん?」
「電話ではどうも。対面では初めましてだね」
「驚いたわ……」
それが初めて九十九を見た伽那夛の正直な感想だった。
揺れる金色の長い髪にかなりの長身、欧米人と言われた方がしっくりくる日本人離れした容貌に元星漿体という話が信じられなくなってくる。
「それで、昨日言ってた大それたことって何なのかな?手短にしてくれると助かる」
「じゃあ早速、あなたは今の星漿体……というか、天元様の同化のシステムのことをどう思ってるの?」
「どうって……呪術界が組み上げた結界維持のシステムだろ。天元がいなくなったら満足に結界が使えなくなる。呪霊に対しての安全地帯が狭まるってことだ。呪術界にとってありがたいものじゃないだろう」
「それはあくまで呪術界のことを考えた場合よね?元星漿体としてはどうなのかしら?」
伽那夛は敢えて“元星漿体”という言葉を強調する。
「……一体どこでそれを知ったのかな?」
「ちょっとした伝手筋からね」
九十九は目を細めて腕を組む。
自分が星漿体だったという事実は呪術総監部の秘中の秘、いくら御三家の人間でも真っ当な手段では辿り着けない。
昨日の電話の時点で警戒していたが、今の発言でより警戒度が上がる。
今回、星漿体の正体がバレてしまい、殺し屋が雇われていることや同化まで星漿体を守ろうと呪術界が躍起になっていることも九十九は知っている。
目の前にいる五条家の娘は自分に何を求めているのか、
順当に考えれば、今の星漿体の護衛あるいは殺された時の保険といったところ。
ただ、昨日の電話では護衛は別の術師がやると言っていたが……
「それを聞いてどうするつもりだい?」
「私は少し思うところがあって、今回の同化を止められるんじゃないかと踏んでいるわ。あなたの考え方次第では協力できると思うの」