第19章 “漆黒”
安室said
“バーボンが危なくなる”
“君達だけが頼りだ”
ーー頼られるのはどうして、
君を殺すときなんだ…ーー
「…安室さん?」
身体は動かしていたが何も反応せずに居たんだろう。随分呆けていた気がする。
いつ彼等が来たのか覚えていない。
コナン君が顔を覗き込んできた。
咄嗟にいつもの笑顔を向けるが、上手く出来ている気がしない。
早めにドリンクを用意しに向かった。
彼女がボックス席からカウンターに移動して僕の目の前に座って頬杖をついた。
「……」
何も言わずにただ顔を覗き込まれる。
その顔を哀しくも愛おしいと思う。触れたい。
「……安室さんさ、
頼るのが殺す時だけ って思ってるね?」
目を見開いてしまった。
何も言わずともyesと示してしまった。
「…やっぱ、あんなんじゃ“お詫び”とは言えないですか。」
“お詫び”…?
椅子から降りて厨房側に入っていく。
「あれ?此処に置いてたアサリどこ行った?」
厨房側から顔を覗かせて彼女が聞いてくる。
だが可笑しい、確かにそこに置いていた筈。朝来たときに見たからな。
「今朝は、そこでみ……」
胸ぐらを掴まれ体制を崩すと唇が彼女の唇に触れた。
そのまま、
「…これ以上はどうしたら良いか分からない。
でも、覚えておいて。私の“切り札”を使えるのは“私”を知る人だけ。其処を頼ることが出来るのは、私にとっての“切り札”なの。」
真っ直ぐ見つめられながら、
唇から息が、言葉が、伝わってくるが慣れない感覚がむず痒くなって、彼女の腰に手を回し自分の方へ強く抱き寄せた。
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