第6章 面談の時間(番外編)
『…得意教科は…ありません。特にどれもこれといった成績を出せていませんし…
好きな教科は…………強いて言うなら音楽…でしょうか?
けど副教科にすぎませんから余り教科として認識していないんですが』
「いいじゃないですか。五教科以外の教科も立派な成績ですよ。何しろ数字的評価がつけられないんですから。その素晴らしさを貴方は実感すべきです」
『…』
「他に何か不安なことなどはありますか?」
『……体育の授業でナイフの練習をするのですが、知っての通り握るとか振るとかができる気がしないので…
やめて欲しいとは言いませんがそのことだけは分かってほしくて』
「そうですね、家庭科の実習も大変でしたからねぇ。こちらから烏丸先生に伝えておきますし深入りはしませんよ」
『そうして貰えると助かります』
「よろしい、今日は大丈夫です。戻っていいですよ」
『はい…』
「あ、一つ聞き忘れたことが」
『…?』
「貴方は……死んでも構わないと思っているんですか?」
『…………
は?』
「いえ、毎朝みんなが一斉射撃をしている中で貴方は銃を構えるだけで一発も発砲していない。そして他の生徒と比べて暗殺に積極的でない。
普通は報酬に目がくらんでとか、地球が爆破されて死ぬのは嫌だからとか、そういう理由で何かしら動こうとする。
だからそうでない貴方には別な何かがあると考えたのですが」
『……死にたい…には語弊があります。私はただ……
期待していないだけです。この世にも、先生にも。
失礼します』
ガララ…ピシャン
「ヌルフフフ…貴方にもそれ相応の手入れが必要なようですねぇ」
「あ、遊夢ちゃんお帰り!」
教室に戻れば渚さんがいの一番に気が付いてくれた。その正確さに若干の恐怖を感じる。隣にはいつも一緒にいる茅野さんと例の件で手入れ済みの赤羽さん
『ただいま戻りました』
「面談帰りでしょ?どんなこと質問されたー?」
『大したことは…好きな教科とか得意教科、苦手科目、クラスで不安なこと…エトセトラ』
「え!?そんなこと!?よかったー、進級早々成績がどうのこうの言われるかと思ったー」
「茅野は最近転校してきたから成績の云々もないんじゃ…」
「はっ…確かに」