第6章 面談の時間(番外編)
「なあ聞いたか昨日のMineの発表」
「まさかもう単独ライブって出世早すぎだろ」
昼休みの教室でもその話で持ち切りだ。私もそろそろあの振り付け完璧にしなきゃな
そりゃあみんながすごいって言ってくれるのは嬉しいけど私はここで驕る人ではない。私にはもっと大きな目標があるから
「早稲田さーん、面談今日ですよ」
『あ、はい』
先生に呼ばれて職員室に出向く。他の職員は烏丸先生しかいないから部屋の都合がつきやすい。この時期は毎年の恒例だが簡単な面談がある。が、本校舎にいたときはその五分十分が長く感じた。
成績を伸ばすことがどうのこうのだとか先生の遠回しの自慢話を聞かされる時もあった。正直だるかった
「さて…1,2カ月ほど経ちましたがクラスには馴染めましたか?」
『……微妙…』
「そう言いつつもちゃんと渚君やカルマ君と話せているではありませんか。並な関係でもこのクラスに居場所があるなら先生は安心です。
ところで貴方もそろそろ殺せんせーと呼んでくれませ『難しいです』即答ですかッ!?」
『クラス自体はいいんですけどこの生活にはいまだ慣れませんし腑に落ちません』
「うう…それで他の教師と区別つくんですか…?」
『至近距離でしか先生を呼ばないので必要ないかと』
「烏丸先生は読んでるじゃないですかッ!!」
先生はおいおい泣き出す
だるくはないけどめんどくせえなこいつ
「ゴホン…とりあえずこの件は置いといて(自分から話した癖に)
君の教科実績を教えて欲しいんです」
『それは…テストや模試の結果を見せて欲しいと…?』
「いえいえ、得意教科や苦手教科、好き嫌いと言ったざっくりしたもので結構です」
『…?いいんですか、志望校も言わなくて…』
「…いいですか早稲田さん。人生は多岐なものなのです。例え良い学校、例えばここの管轄高校、なんて行ったとしても貰えるのはその名称だけです。本当にやりたいことがそこにあるとは限らない。世の中には再び大学を受験する大人もいます。大事なのは沢山の経験をすること、やりたいこと、自分の最大の幸福を人生かけて考えることです。
紙に書けることは単なるレッテルに過ぎないのですから」
『…』