第16章 夢の中の彼と香りの記憶
あれ以来、夢の色は不思議と色濃くなっていったけど
毎日見てたらさすがに悩んでる時間が勿体ないと慣れていく。
ちょもさんとは時々、外ですら会うことも増えた。
とは言っても他愛ない話をしているだけ。
お茶して話して終わり。
毎回、自分の話ばかりをしていて申し訳ないとは思っていたけど彼は自分の話をしたがらない。
だからそれはそれでいいかと能天気に考えていた。
分かるのは、サングラスは外せない。
理由は自分の視線を見られるのや人と目を合わせるのが気恥ずかしくて。
甘いものが実は(?)好き。
身の上話は本当にしてくれない。
「雛鳥は、美味いものを見つけるのが上手なんだな。
ここのぜんざいも実に美味だ。」
甘いものが好きという共通点があるのが嬉しくて、友達と出かけた時に見つけた美味しい場所に一緒に行くことも増えた。
「ところで…。雛鳥よ。君から男女の話を聞かないんだが、なにか理由があるのかね?
失礼だったら申し訳ないが、年頃の女子(おなご)がそういう話は1つ2つあってもとおもってたのだが…」
多分、ちょもさんは自分と出かけてて彼氏はいい顔しないのでは?というつもりで聞いたのかもしれない。