第16章 夢の中の彼と香りの記憶
雛鳥と話すと私は驚いた。
消したはずの巣(本丸)の記憶が夢で現れていると。
思い出さなくていいんだ。
思い出さない方がいい。
しかし、何も言えない私は黙ってコーヒーの苦味を言葉ごと飲み込むしか出来なかった。
「潜在意識とか言うやつなのでは?
人は、奥底に考えてることが夢に出てくると聞いたことある。」
雛鳥と一通り話すと、ほっとした表情をうかべた。
「そうですか…ここしばらく忙しかったからかな?
聞いてくれてありがとうございます。」
「あぁ、問題ない。ではまた。」
私たちは別れて帰るべき場所へと帰って行った。