第23章 追憶の果て
『こうやってゆっくりお酒飲むのも本当に久々ですね』
「最後にしたのは結構最初の方だったな」
『はい、かなり前になりますね』
「これからはやれる時にやるか。あと少しすれば時間にも余裕が出来る筈だからな」
『ほんとですか!やった!赤井さんとお酒飲むのも好きです』
「俺もだ。この時間も何にも代え難いからな」
ソファの背もたれの上に片腕を置いて、片方の膝だけを曲げる形で体勢を変えた赤井さんと視線が合う
リラックスをした様子の赤井さんとソファの上で向かい合う形に座り直した。
『はい。私も赤井さんと過ごす時間はどんな時でも大切な時間です』
含み笑みをしながら肩の傍に伸びていた赤井さんの手が髪の毛に触れる
「まあ、みなみの方はどうやらこれから忙しくなりそうだな」
『えっ?私が、ですか?』
「そうだ」
何の事だろう?本当に直ぐにピンと来なくて赤井さんと視線が合ったまま
ピニャコラーダに刺さったストローを咥えて啜り続ける...
忙しく...あ、まさか
赤井さんの事だ。どうせ私がバレていないと思っている事でももしかしたら筒抜けなのだろう。
『あ、バレちゃいましたか...』
グラスに付いた結露がガウンの隙間から覗かせた腿に水滴となってポツリと落ちた。
「ああ、全て分かっていたぞ」
『え、全てですか?!って事は...』
「サイト、スーツ」
『あー...』
「黙っていた理由もある程度は予想が着くな」
『それについては...』
「なんだ?」
赤井さんは今確実に私を揶揄っている
それが表情から伝わってきて笑いそうになってしまう。