第20章 本音
赤井さんと零の不仲は その、ヒロさんという人が関係しているのかな。
零は誰かを気に入らないという理由だけで、あそこまで人を嫌うような人では無いだろうし
『零は、誰かを単に気に入らないだけで毛嫌いする様な人では無いよね?』
「どうかな。まあ、確かに奴を気に入らない余所者ぐらいとしか認識しない人生の方が楽だったろうね。...あの件さえ無ければ」
『ねえ、赤井さんは...何をしたの?』
正直知るのは怖いけど、知らないままでは居たくなくて。
「ヒロは赤井に殺されたんだ」
『えっ?ちょっ...と、どういう事?』
頭が真っ白になる瞬間は久々。その中でも一番衝撃だった
そこから詳しく話を聞いけど、あの赤井さんが殺すとは思えなくて。
何か裏側に訳があるように見えて、でも零目線の話では到底そうは思える訳無い という感じで。
複雑でもあった。
『零...』
だけど今は目の前に居る零の事を、私のでは無く零目線で零自身の事を尊重したい。
背中に添えていた手を零の腕に回してそっと抱き寄せ、右手で零の頭をそっと優しく撫でる
『辛かったね...本当に』
「ああ」
『話してくれてありがとう』
上手い言葉が出てこない
訳があるに決まってる なんて口が裂けても言えない事だ。
サラサラと細くて綺麗な髪の毛はとても繊細で。
「ごめん」
頭を上げた零が口を開く。
『え?』
「みなみさんを困らせたくて話した訳では無いんだ」
『何言ってるの...私が聞いたんだよ、だから零は謝らないで 私こそごめんなさい...』
少し困ったように微笑む零の姿は見ていて心が痛むというか、胸が苦しくなる思いでもあって。
「それでも僕はみなみさんと居たいな」
私の心情を読み取った上で気を使ってからなのか、何方にせよ零らしい言葉に違う意味でまた少し鼓動が高まる
お互い視線が交わって、微笑めば自然と唇が重なるのも必然的で。
零とキスするのは何時ぶりだろう
この瞬間だけは、脳内に幾つも浮かび上がる複雑な感情が麻痺するかのように忘れられて。