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えびまるの短編集《文スト》

第3章 拾い物 (中原中也)



「芥川先輩…今日も素敵です!!」

「よォ樋口、相変わらずだな」

「!中也さん、お疲れ様です」

「おうよ」

「相変わらずって…そんなにバレバレですか私…?てか中也さんこそ好きな人とか居ないんですか?」

「俺か?居るわけねえだろ」

「まあ、仕方がないですよね…仕事柄」

「そうだな、堅気とは一緒に居れねえからな」


「樋口、次の任務に同行しろ」

「芥川先輩!わかりました!!では、中也さん、失礼しますね!」

「気をつけて行ってこいよ」

「はい!彼女、できるといいですね!」

「余計なお世話だっつーの」




…なんて言っている場合ではないのかもしれない
俺ももう22か、そろそろ身を固めねえとな


でも俺には恋とかよくわかんねえんだよ
なにかと昔から身の回りに女はいたが、かといってそこからどうなるわけもなく…






前に1度だけ姐さんから聞いたことがある

恋は危険が付き物だと
どうやら姐さんは恋愛にいい思い出がないらしい


恋をしている奴等は何故危険なことに一々手を出すんだろうか?
俺には理解ができない




ーーー


見慣れた街を歩く

「(最近やけに恋人達が多いな…)」
そう、ヨコハマは観光地、人気のデートスポットが勢揃いだ

12月だからか、なんて考えながら目的地まで足を運ぶ
吐く息が白い

「(今年は例年よりかなり寒いな…)」

「今日の任務は、港の密輸業者の取り締まりと…敵組織の情報収集か、」

ふと前を見ると一人の女
かなり短い丈の半ズボンを履いている

よくこの寒さでそんなまあ…

その女はすごく慌てた様子で
『やば!!遅刻はまずい…!鏡花ちゃんに八つ裂きにされちゃう!』


ドンッ、
「痛ってぇ…」

『わぁぁあ!!?!ごごごめんなさい!!、お怪我はないですか?!』

「…無ぇよ」

『そうですか、良かったです!本当にごめんなさい!!でも急いでるんで、失礼します!!!!』

「気をつけろよ」
ガチャンッ

騒がしい女だな


…ん?がちゃん?なんの音…?

ふと足元に目をやると
そこには小さな懐中時計

「まーじかよ…さっきの女か…?つーか中々いい値段しそうな時計じゃねえか」


どうすっかな…交番にでも届けるか?

…俺が交番なんて行けるわけねえけどな





任務を終わらせ拠点に帰った
…結局拾ってしまった
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