第1章 交わる二つの世界
「おいおい、嬢ちゃん。こんなとこで何してんだ」
背が高く大柄な男性がファンキーな髪を揺らし話しかけてきた。男性の身体はまるでロボットのようで驚いたが何より露出が高かったことに吃驚した。半裸な上半身は前を開けたままのシャツを羽織っているだけであり下半身に対してはほぼパンイチなのである。
真弥はやばい人に話しかけられたと遠い目をした。
「ここは嬢ちゃんみたいなやつが入っていいもんじゃねえぞ早く出てった方がいい」
どうやら夢中になるあまり知らぬ間に治安の悪いところに来てしまったようだ。周りの景色は今まで居たところとは違い危険な雰囲気を放っていた。スラム街のようなところだろか。
男性をやばい人だと思いながらも真弥は見てしまったものをスルーして街並みに意識を向ける。
「あ、ありがとうございます。教えていただいて」
「大したことはしてねえよ。目の前で危険に晒されちゃ目覚めわりいからな。いいから行きな」
目の前の男性はサングラスをかけており表情はわからなかったがなんだか微妙そうだった。照れているのだろうか。いかつくやばい見た目だがいい人なのだろう。
見た目が衝撃的なのはわかるがやばいやばいと言い過ぎである…。
警告してくれた男性にもう一度をお礼を述べると真弥はそこから走り出した。
ドンッ!
「いってえな何すんだよガキ」
走っている途中通りを歩いていた男たちのうちの1人とぶつかった真弥は謝るがその相手が悪かった。強面で立ち振る舞いが野蛮である男たちはにやりと気味の悪い笑顔を浮かべる。
「よく見りゃこいつ中々いいツラしてるぞ」
「高く売れそうだよな連れてったらどうだ?」
物騒な会話をしている目の前のやつらに嫌な考えが頭を過ぎる。
「そんなに怯えるなよ、なあ」
「そうそう大人しくしてりゃなにもしねえよ」
不味い…このままだと捕まってしまう。
動け、動け!どんどん近づいてくるやつらから必死に逃げようとするが恐怖で竦んでしまった足は全く動く気配がない。
「よし捕まえた。」
結局、逃げることが出来ずに迫り来る大きな手に捕らえられた真弥はそのまま袋の中へと入れられ、運ばれる道中も誰かに助けられることはなかった。
折角警告して貰ったのに…。