第1章 ひとたび風が吹けば
日ノ本、港付近にて
人間は私たちよりはるかに生が短く、尊ばれるもの。
だから人間に優しくできる女の子になってね。
そう教えてくれたのは母だった。
母は人間に優しかった。
もちろん子である自分にも、同族のみんなにも。
反対に父は少し厳しかった。自他ともに厳しく、そして思いやりのある人だった。
人というものは罪深い生き物だ。己が欲を満たすまで攻め続ける。それでも、短命な人を愛さずにはいられぬ。
母に似た考えを持っていたけれど、母とは対極に人との接触は最低限にと教えられた。
もちろん母以外の周りもみんなそうしていたし、そうするのが当たり前だと思っていた。
あの事件の後、みなが私を捨てなければ。