第8章 ※ 誰を愛していたとしても…。
「う〜ん、何を作ればいいかなぁ」
不死川のキッチンに戻った二人は、今度こそ夜ご飯を食べる事にした。
「ひなた、腹が減っただろ? 」
「うん。不死川さんは? 」
キッチンソープで手を洗いながら聞くと、不死川は少し照れたように笑う。
「…腹減ったなァ。汗もかいたし…な」
不死川の髪がセクシーだ。顔にかかるとこ、前髪がすごく色っぽい。
目が合うと、二人共、恥ずかしさ混じりで照れ笑いしてしまった。
ベッドで…不死川の額に汗が滲んでいて、時々苦しげに呼吸するような喘ぎ声の不死川さんはとても…とても素敵で…。
そんな不死川さんに翻弄されて、身を捩りながら喘いで、いっぱい感じて…。
初めて見せ合う姿を、お互いに沢山見た。
ひなたが上半身を仰け反らせると、不死川さんは沢山愛撫して、胸にも一杯キスしてきて…。
今キッチンで、すぐ隣りにいて笑い合いながら、脳裏に浮かんで来るのはさっきの乱れた姿だった。
きっと、不死川さんもそうなのだろう。さっきから、ひなたの顔とか、指先とか、動くひなたが目に入る度に、不死川さんは照れた顔をしている。
「…何に、しよっか? 」
どちらともなく、耳を赤くしながら聞いた。ひなたは冷蔵庫を開けて中を覗いてみる。
「あるもので簡単にできるもの…は…」
冷蔵庫で顔を隠さないと恥ずかしかった。あんな刺激的な体験の後で、不死川さんを近くに感じて平常心を保つのは大変。
「俺、買い置きしてたかなァ。最近忙しくて、自炊もサボりがちだったんだァ」
外食とかコンビニとかが多かったのかもしれない。だから、お家でゆっくり食べる機会がある時は期待をしちゃうのも当然かも。
お野菜の買い置きはあまりなく、ピーマンが少しとにんじん、ベーコン、バターとかジャム、あとはフルーツジュースの瓶やお水が入っていた。
「作ってくれ、なんて言えねェな。これじゃ」
「だっ、大丈夫だよ! 」
この少ない食材でできるものとは…。ひなたは考えた。
…アオイさんなら、どうするだろう?…。
「そうだ!ご飯はある? 」
振り向くと、ひなたの結んでいる綺麗な髪が一緒に揺れる。
不死川は、そんなひなたを可愛いと思い、また欲しいと思ってしまう男の自分を感じていた。