第7章 ※ 鬱金香のピンクは愛の芽生え
「煉獄さんは何処に行ったの? 」
「兄上は、その…」
千寿郎君は、話しても良いのかと迷っている表情になった。
「ん? 」
なんだかモジモジしている千寿郎君の事が気になりながら、ひなたは次の言葉を待っていた。
ひなたが見つめるので、千寿郎の頬が僅かにピンク色に染まっていく。
「兄上には、その、いいなず…」
千寿郎君がほっぺを染めながら話し出したその時、お庭のずっと向こうの、立派な門扉の開く音がして、煉獄さんが帰って来た。
「千寿郎!ひなた!、そこにいたのか! 」
「ああっ、兄上! 」
杏寿郎は二人を見つけて笑顔で歩いて来る。ビシッとした隊服と白い羽織を纏ったその姿は、長身という事もあり堂々としている。
「煉獄さん、お帰りなさい」
「兄上、お戻りですね!ひなたさんと待っていました」
杏寿郎は縁側の千寿郎君の隣に腰を下ろした。
「ただいま。二人で練習か、偉いな。よし!俺が二人に稽古をつけてあげよう! 」
出掛けてから今戻って来たばかりなのに、杏寿郎は元気に言って立ち上がる。
「わあ! 」
千寿郎君もひなたも、急いで竹刀を持って立ち上がった。
「千寿郎もいるから、打ち合いをやってみるか」
「はい!兄上」
そこからまた二時間程、杏寿郎の厳しくも熱の入った指導が始まった。千寿郎君と向かい合い、対戦しながら打ち込みを覚えていく。
「お疲れ様。今日はここまでにしよう」
杏寿郎がそう告げるまで、ひなたは千寿郎君に相手をしてもらい、対戦相手を杏寿郎に代えて其々が指導を受けた。
終わって、流石に疲れたひなたは腕をさする。日頃、使わない場所の筋肉を使っているからへとへとだ。
「ひなた、着替えてひと休みしたら話そう」
杏寿郎がひなたにそう告げると、並んで歩き出した。二人より背の小さな千寿郎君も。ちょこちょことついてくる。
「うん」
さっき、千寿郎君が言いかけた事は何だったのか、少し気にはなっていたけど、それよりも喉が乾いていたので早くお水が飲みたくて早足になっていた。
煉獄兄弟にクスクス笑われながら、そそくさとお台所へと急ぐ。