第6章 ※ 再びあなたに逢えたなら
ゴロゴロゴロリ。広い広いお庭をスーツケースを引いて歩いた。石の橋も渡り、さらに進んで白梅のある池に近づいていく。
「え…? 」
ひなたは驚きのあまり、立ちすくんでしまった。
「おっ、おじいちゃん⁉︎ 何してるの、こんなとっ、ところでっ⁉︎ 」
白梅の側に、着流しと薄い羽織を着た輝利哉が立っていた。
「風が少し冷たいね」
「だっ…だったら、早くお家に入って!ね⁉︎ 」
ひなたは輝利哉に駆け寄ると、手を引いてお家に帰ろうとした。
「ひなた、少し話そうか」
輝利哉は、ひなたの手に自分の手を重ねた。何もかも、おじいちゃんには分かっていたのだと、ひなたは理解した。
「知っていたの…? 」
「ひなたの顔をいつも見ているからね、分かるよ。それに実弥も、最近、心配そうにひなたの事を見ていたから、近いのかと思っていたよ」
輝利哉は穏やかな口調で話した。
「愈史郎君と私は、君に行かないよう話した筈じゃなかったかな」
「…ごめんなさい…」
輝利哉はひなたを見つめて優しく言う。
「ひなたのする事に反対などしたくはないよ。君は新しい世界を見たいと思ったから、私の話す大正時代を熱心に聞いてくれたんだろう。私の両親や鬼殺隊を愛してくれて嬉しく思っているよ。でもひなた、私と愈史郎君は、あの時代を知っている。可愛いひなたを行かせたくないのは分かってもらえないのかな」
「分かってるよ!私のこと思って言ってくれてる事は、分かってるの」
輝利哉の瞳を見て、必死に言った。
「だけど、私しかいないんだもん…時間を遡って煉獄さんが生きている時代にいけるの、私だけなんだもの…。運命を変えられるなら、やらないと、ずっと苦しいの。何をしていても、ふとした時に思い出して泣きそうになるの! 」
二人の間に、少しの沈黙が流れた。夜の風はだいぶ冷たい。おじいちゃんを早く暖かい部屋に戻さないと心配なのに。
ひなたは、じわりと溢れ出る涙を指で拭った。輝利哉を悲しませていると思うと、とても辛かった。