第2章 華麗なる危険な時代
七日間を生き抜き、杏寿郎の最終選別は終わった。藤の花の咲き乱れる場所に帰って来た少年たちは、最初に集合した時とは違い数える程しかいなかった。
「皆は…どうしてしまったのか…」
破れた着物が、ぼろぎれのようになってしまった者もいる。杏寿郎の着衣には比較的乱れはなかったものの、それでもやはり闘いの後だと分かる程、杏寿郎も疲弊していた。
刀が折れてしまった者、生きてこの場所までたどり着いたが、傷を負ってしまった者。薄汚れて疲れた顔をしている。
「やはり、多くの者が死んでしまったか…」
杏寿郎が出会った少年も、折れた刀を持ち震えながら戦っていた。最終選別は、聞きしに勝る過酷なものであったのだ。
生き残り鬼殺隊と認められた杏寿郎たちは、隊服の採寸をし、鎹鴉を与えられた。そして日輪刀の玉礫を選び、帰宅を許されたのである。
「さて、家に帰ろう! 」
七日間を過ごした藤襲山を後にする。急いで帰りたかったから、全集中の呼吸で走ろうとしていたら、少年たちに声をかけられた。
「ああ!無事だったのだな、良かった! 」
折れた刀を持ち、震えながら鬼に向かっていた少年だった。少年は杏寿郎に助けてもらったお礼が言いたくて、帰る杏寿郎を待っていた。
純粋な瞳で、杏寿郎に礼を伝える少年達の言葉に、杏寿郎は気恥ずかしくなった。皆、鬼殺隊としてこれから仲間となる者たちだ。
「俺はまだ柱でもなんでもないのでこそばゆいが、共にがんば……」
いつものように、明るい言葉が出てこなかった。
なんだか、この少年が死んでしまいそうな気がしたからだ。
「あなたのようになりたいです!! 」
そう言って杏寿郎を眩しそうに見る少年たちの、まだあどけなさの残る顔を見つめていた。
その時、杏寿郎には父の顔が浮かんだ。
父も、このような想いで、俺を見ているのだろうか…。