第6章 ※ 再びあなたに逢えたなら
鬼殺隊祭も無事に終わった。産屋敷家はいつものように優雅で、かつとても忙しい日々の中にあった。
ひなたも少しずつ家の事をしている。手伝いの人がしていたように、桶に水を汲み、よいしょと運んで長い長い渡り廊下の水拭きをさせてもらった。
延々と続いているような長い廊下は、いつもピカピカに磨かれている。
「ふう!これだけでクタクタになるほど長い…」
腿が悲鳴を上げる程、長い廊下だ。床に伸びたくなる。
だけど、綺麗な廊下は気持ちが良く、産屋敷家に来る客人が(主に柱や亜貴光さんのような親戚だけど)この渡り廊下から庭を眺めたり、美しい廊下を歩いている柱を何度も見たけど凄くかっこいい。
「私も産屋敷家の人間として働かないとだ! 」
一人で呟きつつ、桶を持って庭にある井戸へと歩いた。ひなたのいた現代は冬の始まりだったが、ここ、大正時代では夏の始まりである。
空は青く澄み、空気は綺麗で気持ちが良い。
「この後は、輝利哉君と一緒に本を読むんだあ! 」
お掃除が終わったら、約束している輝利哉君とのお勉強タイムが待っている。輝利哉は、ひなたに大正時代の事を教えてくれるのだ。
可愛い輝利哉君と、女の子達も混じってお話する時間は楽しい。
「急げ、ひなた!早く早く片付けろ〜ィェ〜」
いつものように、井戸から水を汲んでいると、
「あっ、ひなたさん!ここで何してるんですか?今日は街に行くって言ってましたよね、行きましょう」
産屋敷亜貴光さんの声がした。
…え?もうそんな時間?まだ午前中のはずだけど…。
街に行くのは午後の約束だった。
ひなたは慌てて振り向く。
「亜貴光さん、今何時ですか? 」
「今ですか?…2時ですよ」
「うそっ! 」
と叫んだひなたの視界がグニャリと歪んだ。空間がねじれたように曲がって見える。ひなたに話しかけている亜貴光さんの顔も、ねじれて見えた。
空気が変わり、キラキラしだす。どこからともなく光の屑のような流星群が身体の周りを取り囲む。
「ひなたさん!どうしたんですかっ⁉︎ ひなたさんが消える!!誰か、誰か来てくれ! 」
産屋敷亜貴光さんの叫ぶ声を聞きながら、ひなたの身体はまた流星群に包まれて行った。