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魔導人形

第4章 恐怖の色


「……足りないな、まるで貧血だ。エーテルが要る……024、研究所に……いやここは首都じゃなかったか……。」

ブツブツと呟くケフカ様は様子がおかしかった。さっきまで研究所を修復させる話をしていたのに、その研究所からエーテルを持ってこいとは。思わず頭に手を伸ばすとそっと撫でる。ケフカ様に唖然と見つめ返された。

「無理せず休んでください……、ケフカ様は私と違って生きてるんですよ」

「……ぼくちんは死人だ。」

ぽそりと言葉が返ってくる。死人、それは私のことだ。ケフカ様は生きている、そう心臓が証明している。

「眠ってください、今は何も考えないで」

言うことを聞くような人ではない、けれどケフカ様の瞳は閉じられた。ゆるく寝息が唇から漏れる、やはりまだ本調子ではないのだろう。

………死人。味覚嗅覚は人より鈍く、温度は感じない。心臓は動いておらず、魔力に乗り血が循環する。私のカテゴリーは今や人間ではない。魔法生物……、モンスターなのだ。
しかしケフカ様は違う。食べて眠り、心臓が動く。魔力が無くなっても死にはしない。きっとこの手のひらには温度があって、でも、私はそれを……感じることが出来ない。
二人が眠る中、眠りを知らない私は久しぶりに長い夜を過ごした。魔法ではなく、本当に眠れるようになったのではないかと小さな期待もあった。だが朝日が部屋を照らした時、私の心にあったのはやはり死んでいるという擦りきれた悲しみだけだった……。
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