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魔導人形

第8章 独占欲


しばしあり、ケフカ様はむっつりと黙り込むモードに入り込んでしまった。どうも怒りの解決方法がないと暴れるか自らの内側に向けられるか、のようだ。そして黙ると絶対に私を離さない。
地面に転がされたまま手首を掴み縫い留められている、なんとはなしに眺めているが表情だけは落ち着かなかった。どうにかして怒りたいがそう出来ずに困っている、小さく笑うと腕に噛みつかれた。まさか噛みつかれるとは思わず痛みに短く声を上げるとケフカ様が憎々しげに私を睨みながら手首を解放し身を起こす。

「どうして」

じくり、と憎悪が込められた一言がゆっくりと漏れる。しかし何がとか、気に入らないとか、そういった理由は何も続けようとはしない。辺りに静寂が戻った。噛まれた痛みに目をやり、ふと鱗のように歪んだ皮膚に目をやる。ここに虹色の結晶が突き出した名残……。

「……ケフカ様、私が魔力を自力で生成できるようになったのって何時からだったか覚えてますか……?」

「何を、……何?いや、しかし……なぜ」

わし掴み腕を引かれ、前につんのめる。年単位で昔の事で忘れていたが初めて私の腕にこの結晶が生えた時、私は魔力でできた“意思のあるナニカ”を見た。そして生命力を得た。
しげしげと眺めたのちにケフカ様は嫌そうにその手を離す。

「やっぱりお前、動く剥製にしましょう。気に食わん」

「また魔力が生産出来なくなっちゃいますよ」

「……俺が魔力をやれば良い」

やはり駄々をこね、何時ものような覇気のある喋りはしない。不合理を言っている自覚はあるようだ。
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