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我が先達の航海士

第3章 真の風


午後二時。下船が近づき、皆がわーい!とテンション爆上がりになる。酒やツマミを配り出し、仕事がめちゃくちゃ捗る。からすれば日常茶飯事だが、龍水からすればこんな風景も珍しい。

「いいなこの雰囲気は!?」
龍水が食堂でワイワイするのを見に来た。船長の姿にあっ、やべ。つい手癖で、と皆が固まるも龍水は気にしない。
「はっはーーいいぞ皆!そのまま宴を続けろ!!」
それを免罪符に、皆がビールを飲みチータラやサラミやらビーフジャーキー等を食べる。龍水もさらりと混ざりおつまみを齧る。

「普段私が担当する外航船だと、フィリピン人クルーにツナギとかプレゼントする人も居るよ」
近年海運業では外国人船員が多い。日本人船員が減った海運業の苦肉の策が人件費の安いフィリピン人の登用だ。決まりにより内航船はアウトだが、外航船は外国人船員を乗せられるのだ。英語が得意で出稼ぎ人が多いフィリピン人クルーと同乗するパターンは多い。

「ほう?それもまた興味深いな!?」
「まあね。フィリピン人は陽気で日本人と相性良いし。君も外国に行くなら」
がそこで台詞を止めた。煌めく龍水の瞳。当たるぞ、船乗りのカンは!?
「なら是非やるぞ!経験を積み外航船にして、そして世界一周だ。フィリピン人は勿論、様々な国籍の船員とな!」
バッシィィイン!!と指鳴らしするのにだよね、とが頭を抱えた。

午後四時半。丁度にバトンタッチした辺りで、阪南に到着。やったーーー!と喜ぶ皆に、龍水が労いの言葉をかける。
「良くやったぞ皆!!追加報酬で100万だ!!!」
「ひゃくまん!?」
初航海の成功だからな!!と気前よく小切手をフランソワに書かせて払う龍水。船員達は帆船の旅も楽しいな、と言いつつ下船していく。龍水のリーダーシップや気前のよくハキハキとした物言い等の性格、技術力も気に入った様で、また乗りたいと賑やかに騒ぎつつ帆船の前で会話していた。も下船すると、大勢のマスコミに出迎えられた。フラッシュを浴びせられつつ、SAIに尋ねる。
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