第4章 お試し期間
side
「、、ほんと、、ずるいよね、ちゃんって、、」
「ん、?」
「ちゃんと、伝えてくれてありがとう、、?」
「うん、、」
もう一度、2人で抱きしめている腕に力を込めると、徹くんから抱きしめられていた体が少し離れ、寂しく感じてしまう
(やっぱり、、もしかして、わたし、)
「キス、していい?」
「え、?」
驚きの質問に、彼を見上げると少しだけ熱のこもった目で私の方をまっすぐ見ていて、一気に恥ずかしさが込み上げる
「あ、え、、」
「ごめんごめん、いやだよね!
さすがに焦りすぎか、」
付き合って1ヶ月が過ぎているのにも関わらず、全く手を出してこない徹くんに驚いていたし、むしろどうしてしてくれないんだろう、と少し悩んでいた
でもそれ以上にいま、1番驚いてることは
(いやじゃない、、)
と思っていること
いつも通り明るく笑いながら離れて行こうとする彼の腕を掴む
「徹くん、」
「なぁにちゃん?」
「いやじゃないよ、」
「え、?」
「だから、キス、やじゃない、、」
恥ずかしくて、彼の腕を掴んでいる手に力が入った
「ちゃん?俺のこと、見て?」
俯いていた顔をあげると、彼の掴んでいた手を握られ、目線を彼に移すとまっすぐで少し照れくさそうに笑う彼がいる
「本当に、いいの?」
「うん、いいよ?」
そう言うと優しく両手を私の頬に添えて、下を向いてしまった私に上を向かせた徹くんがゆっくり近づいてきて、私は目を閉じた
柔らかくてあったかいものが、私の唇に触れ、心臓がキュンと鳴る
触れたのは一瞬で、すぐにその温もりは離れていった
「じゃあ、いこっか、」
「、うん、、」
珍しく、静かに帰る私たち
「ちゃん、またね、?」
「ん、、徹くんまたね、」
お互い恥ずかしさを抱え、目を見れずに家に入る
(あーーーーーーー、!うるさい心臓、!)
玄関のドアが閉まった瞬間、靴も脱がず座り込む私
そのあとも浮き足たちながら、夜を過ごした
夏休みもあと半分