第33章 歪んだ愛で抱かれる 後編 【三成】R18/ヤンデレ
「安土城に里帰りしてきた夜、私が流させた側室についての噂を聞いて憂いた名無し様を慰めた。淋しい心の隙間に入り、貴女から私を求めてくるように仕向けた。それは上手く事が運んだのに…」
(それも計略、彼の罠だったなんて…)
宝物のような大事に思っていたあの夜まで…
官能に霞む思考の中でも名無しは大きな衝撃を受けた。
「翌朝、貴女は何も言わずに私から逃げた」
朝を迎えて、未だにとろとろ微睡んでいる名無しの姿を見てこみ上げた多幸感。
このまま彼女を抱きしめていたいという思いを振り切ってまで、早朝から城を発ち馬を走らせた三成の目的……
それは媚薬を手に入れるためだった。
あらかじめ用意していたものをお菓子に混ぜて食べさせたが、予想よりも彼女の意思が強くてずっと抗うので、水に溶かしてさらなる量を飲ませた。
おかげで手持ちが無くなってしまい、急遽追加で入手してきたのだった。
残りの里帰り期間はこれを飲ませて彼女の思考を白濁させ、散々抱き潰そうと目論んでいたのに、逃げられてしまった。
秀吉から彼女が帰ったと聞いて、平静を装いながらも震えを止められなかった拳。
胸の内を吹き荒れた嵐のような激昂を忘れられない。
「その後も貴女の行動はことごとく予想を裏切った。私があてがった愚鈍な夫とも、それなりに上手くやっていたのでしょう?彼は貴女をとても気に入っていた。それから、あの側室にも気を配り、慕われた。それが後に川名泰俊を討つ妨げへと繋がってしまったのです。そして、たまたま護衛についただけの蘭丸さんまで、惚れさせてしまうなんて」
「違う!…そんなことない…」
「彼は川名家に忍びこんで貴女に会いに行き、そして…私の策の大きな邪魔立てをした…!」
三成の顔が苦々しく歪んでいく。
「…許しがたい!虫唾が走る!完璧な策なのになぜ思い通りにならないのか!…その怒りに胸が焼かれるほど、邪魔が入れば入るほど、私の名無し様への愛は強く募った。どんな手を使ってでも手に入れたかった」
「…」