第17章 君の誕生日2−2 【佐助】ヤンデレEND R18
あれ?
何だか上手く喋れない…。
眠いから…?
「ねえ…おしえて…謙信様は…なにがすきなの…?」
佐助くんは押し黙っている。
「やっぱり…お酒?」
「名無しさん、君は謙信様が好きなの?」
さっきまでとは違う、低い声色で聞かれる。
バレちゃった…私が謙信様を好きなこと。
「うん…」
私が頷くと、佐助くんは何も言わずに手を止めた。
沈黙が降りる。
「佐助くん…?」
何だろう、さっきまで触れられていた内腿が熱い。
今は手が離れているのに、感触がじーんと残っている。
「やっぱり君は謙信様が好きだったんだね」
佐助くん、何だか雰囲気が違う。
私は息をのんだ。
彼はやっぱり無表情。
それでも普段は感情が読み取れてたけど、今の無表情からはわからない。
ゾクッと怖さを感じ、体を起こして離れようとしたけど、なぜかそれができなかった。
全く力が入らない。
「君はいつも謙信様を目で追ってた。わかってたけど認めたくなかったよ。……俺はこんなに君を想ってるのに…」
「あ…」
「君が好きだ、好きすぎておかしくなりそうな位」
淡々とした声で告げる内容になかなか頭が追いつかない。
危険を感じているのに、酩酊しているように頭が働かず身体は言うことを聞かない。
「……」
「震えてるね。俺のことが怖い?」
佐助くんは私の顎に手をかけて顔を上げさせた。
じっと見つめられる。
「…可愛い顔…」
長い指先が私の唇をツーッとなぞっていく。
「湯浴みの後、廊下で外の雪を眺めてた君の顔は、すごく綺麗だった」
あの時、どこからか見ていたの?
「いつも眩しいくらい可愛いけど、今日は憂いがあって何倍も綺麗だと思って見惚れてた。あの時、君の心には何が広がってるんだろうって考えながら」
その声はいつもより上ずっていて、まるで少年が夢の中の出来事を話しているような響きがあった。
私の唇から頬へと愛おしむように流れていく指先。
「それで…ひどく興奮した」
彼の声色は途中から一変した。
「これからこの真っ白で綺麗な君を穢すんだって」
「!!」
穢す…?
耳を疑うような言葉とともに、彼の指先が私の唇を割って口内に入っていく。