第4章 タイムフライヤー【うちはサスケ】
「…っ…!?」
思いっきり何かとぶつかる。あまりの強い衝撃に、一瞬息がつまった。心臓震盪(しんぞうしんとう)起こすとこだった。危ない。ってか背中いったッ。でも、生きている。…奇跡か!?生きているからこそ感じる痛みに、心から安堵する。
「テメェ、…どっから降ってきやがった」
「…!?」
人の声!?一体どこからだ。周りをキョロキョロ見渡すが人影は見当たらない。まさか…と思い目線を下げれば、そこに人が下敷きになっていた。
「さっさとどきやがれ」声色からして超不機嫌。殺気が半端ない。舌打ち怖いっ!この衝撃で生きてるってことは少なからず一般人ではない、ってことは忍か!?…やばい今度こそ死ぬかも。
「すみませんっ!!!」
急いで立ち上がり、必死に頭を下げる。土を払う仕草とともに、「おい」と声をかけられる。あれ、すごく聞き覚えのある声。反射的に頭を上げて、絶句した。
目の前には私の愛してやまないサスケさんに良く似た男の人が仁王立ちをしていた
「サスケさん…!?」
思わず口にした名前に、目の前の男は目を見開いた。あれ、でもよく見たら雰囲気違うし、年齢私と同じぐらいだし、…やばい失言したかも。
次の瞬間、目の前の男は眉間にシワを寄せては、とんでもない怖い顔を見せた。
「お前は誰だ、なぜ俺の名を知っている」
「え…!…あ、えっと…」
頭が真っ白になった。え、やっぱりサスケさんなの?何でこんなに雰囲気違うの!?若返った?え?訳がわからない。
一応私だって忍だ。どんな場面に遭遇しても、冷静な判断、分析力、状況把握能力は心がけてきた。でも今の自分はそれらがまるでできていない。…師匠、助けて。…泣きそう。
「…ゆ、夢ですか?」
「あ?」
「…すみません」
ふざけんのも大概にしろ、と恐ろしい声で言われるから夢であるという可能性は一瞬にして消えた。
イケメンなのは嬉しいけれど、私は逆ハーレムを望む。これは望んでいるのとは違う。全く違う。
人の質問に答えろ、と急かしてくる。死へのカウントダウンですか?ここはどこですか?私の知っているサスケさんはどこですか?
脳内を埋め尽くす疑問符と目の前の男の威圧感に気を失いたくなった。