第4章 タイムフライヤー【うちはサスケ】
サスケさんはサクラ師匠が私を呼んでいたと言っていた。早く行かないと半殺しにされそうだ。急いで医学書を本棚から取り出す。急いでいたせいか、ヒラッと表紙の裏から一枚の写真が落ちた。
これはいつの日かナルトさんに頼んで、もらったサスケさんの里抜けする前の写真だ。17歳の今の私より幼いサスケさんの姿。今よりも棘のある姿に、この時のサスケさんにも出会いたかったなぁなんて妄想を膨らます。
写っているサスケさんの隣には、”大好き!”とか”チュッチュ!”とか書いてあるけど、これも私なりの愛だ。今度は一緒に写真を撮ってほしいな。緊張して無理かもっ!
時計に目をやれば、だいぶ過ぎてしまっている。やばいまじで殺される。私は写真を急いで挟んで、鞄に詰め込んだ。
サクラ師匠は私のご自慢の師である。体力やチャクラ量に恵まれなかったものの、チャクラを誰よりも器用にコントロールすることだけは他より長けていた。
最初は傀儡使いになろうかと考えていた時期があったが、この時代、戦術より医療忍術の方が里の役に立てる、という自分なりの考えから医療忍術を極めるようになった。
師匠譲りの怪力も教わったが、女の子っぽくないから普段は使わないようにしている。自分の身を守るときだけ。なぜなら医療忍者は決して死んではいけないからだ。
頭に叩きつけられたこの誓いを胸に、今日もサクラ師匠の元で励む。
「やばい、拳飛んでこそう」
本人曰く、愛の拳だとか言っているが、痛いもんは痛い。痛いのは嫌いだから早足で駆ける。
その時だった、急に地面の感触が消える。え、と間抜けな声が漏れると同時に、私は真っ逆さまに落ちていった。え?え?え?
「ええええええ!」
ゴォォという風の音がうるさい。浮遊感で気持ちが悪い。一体全体何だっていうんだ。新手の忍術かと状況を把握しようとするが、風圧で目が開かない。
なんとなく自分は空にいるのだとわかった。つまり今自分は地面へと落ちていっているのだ。死んだ。私の人生おわった。忍として、なんていう死に様だ。恥ずかしくて死にたい。あ、もう死ぬけど。
来るであろう衝撃に目をぎゅっと瞑る。