第3章 n度目の愛の告白【波風ミナト】
「顔、赤いけどお前大丈夫か?」
隣で目をこすりながら聞いてくるシカクにぶわぁぁと更に顔が熱くなる。あんたは黙ってろとキッと睨んでやれば「めんどくせぇ」と欠伸をついて目を閉じた。
夕日に照らされる火影岩。揺れるたび、ギシギシと音をたてるブランコに座り、今日の出来事を思い返す。
あれはなんだったのだらうか。幻術?いや。あれは現実だった。ミナトが私のことすき…?でもひおりみたいな、って言い回しをしていたから、私のことが好きとは言いきれない。
そもそもミナトの言っている好きは、私の思っているのとは違う可能性が大いにある。そうだとしたらとんでもなく恥ずかしいし、ミナトなら全然有り得る、と今日の出来事は無かったことにしようと頭を切り替える。
「ひおり?」
今一番聞きたくない声が私の名前を呼んでいる。近づいてくる気配にくんなくんな!と叫んでやりたくなった。
ブランコに乗っている私と目線が合うようにミナトはその場にしゃがみこむ。
こんな所でどうしたの?と聞いてくる普段通りの彼に、こんなに深く考えている私の方がおかしいのかもしれないと錯覚する。
どうにでもなれ、と勇気をだして今日の発言について問えば、それがどうしたの?僕はひおりが好きだよ。ひおりは僕のこと、すきじゃない?そう言ってキラキラした空色の瞳に私をうつした。
っ…!
意味わかんない!色んな感情が込み上げてきて涙目になる。ミナトのちんちくりん!!そう言ってその場から全力疾走で家に帰った。後ろから名前を呼ぶ声が聞こえるけど、聞こえない聞こえない!
それからミナトは飽きもせず、かわいいとか好きとかどストレートな愛の告白をするようになった。
さすがに何回も言われれば、あの時のような初々しい反応はしなくなったが、やっぱり恥ずかしいし、ってかもう良い大人だし、そろそろ場をわきまえてほしいところだ。
結局彼は変わらず、私だけが場をわきまえた反応を示すようになった。
そして今に至る。