第3章 n度目の愛の告白【波風ミナト】
綺麗な髪だったから、ちょっともったいないけどね、なんて言いながら私の髪を指ですくミナトに、お前も飽きんなぁ、と呆れた顔を浮かべるのは自来也先生だ。
この一部始終を見られたらしい。ほらね、こういうことを言っているんだ。子どもの頃の周りからの微笑ましい視線も、大人になればまた変わってくる。
私これから用事あるからまたね、とその場から逃げるように背を向ける。用事なんてないけど!
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ひおりのやつもそろそろ折れればいいのにのぉ、分かりやすくその場から逃げていくひおりの後ろ姿を眺めながらつぶやく。
本人は満更でもないような態度を示しているようだが、見ているこっちは微笑ましいほどにわかりやすい。ピンク色に染まっている耳に、逆に男を煽っているのだろうかと疑いたくなるほどだ。肝心な本人は気づいていないようだが。
「ほんとに、かわいいですよね」
そしてそれを困り顔で見つめているミナト、その眼差しはほんとに甘ったるい。胸焼けしそうだと自来也はため息を着く。頑なにも折れないひおりだったが、あの様子だとそろそろ勝負がつきそうだ。