第12章 私ができること
みんなが揃ったのを確認して、忍田が会議を始める。
すると隣にいた沢村がスクリーンに起動配置図を出した。
「先日の防衛戦で捕虜にしたエネドラから新たにネイバーフッドからの攻撃があるという情報を得た。
玉狛支部のレプリカ特別顧問の残した起動配置図によればまもなく3つの惑星国家がこちらの世界と接近する。エネドラによればこのうち"ガロプラ"、"ロドクルーン"、この2つがアフトクラトルと従属関係にあるという。」
「従属関係...。大規模侵攻してきたヤツらの手下ってことかぁ。」
太刀川がつぶやく。
「あくまでまだ予想の段階ではあるが、襲撃があるならば迎え撃つ用意が必要になる。2つの国との接触までほとんど時間が無い。対策には緊急を要するためこうして集まってもらった。」
「攻撃があるとしたら敵の目的はまたトリオン能力者を攫うことですか?」
「それについては───。」
三輪の問いかけに忍田は、迅に視線を向けた。
迅は困ったように忍田の言葉に繋げるように報告を始める。
「まだわかんないですね。ここ何日か日中ぶらぶらしてましたけど、ボーダーの人間にも街の人達にも殺されたりする未来は見えない。」
「じゃあ、攻めてこないってことじゃないの?カニ野郎のふかしかも。」
「あるいは人材以外に狙いがあるとか。」
「人材以外って何?」
東の言葉に疑問を持った冬島が問いかけると、東は冬島の方を見て自分の考えを述べる。
「技術、情報。」
「捕虜の奪還、もしくは処分。エルガテスの例もある。」
東の答えに付け加えるように発言した風間はどこか呆れたように答える。
すると冬島は「あ〜」と納得した。
「確かに隠密任務という事は考えられるな。ガロプラもロドクルーンもデータではそこまで大きな国じゃない。エネドラへの聞き取りは続けるとして、ガロプラとロドクルーンがこちらの世界を離れるまでは、特別迎撃体制を敷いていくことになる。その内容についてはこれから協議して行く訳だが、その前に城戸司令よりひとつ指示がある。」
その場の全員が中央に座る城戸に視線を向けた。