第5章 遠征部隊の実力
「…さて、帰還早々で悪いがおまえたちに新しい任務がある。現在、玉狛支部にある黒トリガーの確保だ。」
「黒トリガー?!」
「玉狛に?」
「ああ。三輪隊、説明を。」
「はい。」
城戸司令からの言葉に、顔を顰める風間と疑問符を浮かべる太刀川。
透が説明を始めた。
「12月14日午前、追跡調査により近界民を発見。交戦したところ黒トリガーの発動を確認。その能力は相手の攻撃を学習して自分のものにするというもの。」
「学習するだと…!」
「その後、玉狛支部の迅隊員が戦闘に介入。迅隊員はその近界民と面識があったため一時停戦。その近界民は迅隊員の手引きで玉狛支部に入隊した模様。そして現在に至ります。」
「近界民がボーダーに入隊!?」
「……」
「まぁ、玉狛なら有り得るだろう。元々玉狛の技術者は近界民だ。今回の問題はただの近界民ではなく、黒トリガー持ちだということだな。」
「そうだ。だから、お前たちにはなんとしても黒トリガーを確保してもらう。」
すると、今まで黙っていた太刀川が、
「黒トリガーの行動パターンは?一人になる時間帯とか決まってんの?」
とたずねる。
そして透が説明を始める。
監視記録によると夜は自宅に戻るため、一人になる時間はいくらでもあるわけだ。
「チャンスは毎日あるわけだねぇ。ならばしっかり作戦を練ってから……」
「いや…今夜にしましょう、今夜。」
「…!?」
「今夜!?」
太刀川の突然の提案に、全員が驚きの表情を見せた。