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綾なす愛色【鬼滅の刃】

第2章 優しい約束、哀しい約束





俺はこの襟留から目が離せなくなっていた
太陽の光が当たると何色にも変化する
それが笑ったり、泣いたり、怒ったりと色んな表情を見せてくれる薫さんと重なった

「旦那!それ気に入ったかい?贈り物にぴったりな品だよ。少々値は張るが、白蝶貝でできてるんだ。綺麗に光るだろ?真ん中の真珠も大玉でな、一点ものさ。」

「この世に一つと言うわけか。」

「あれかい?コレに贈るのかい?」

店主は嬉しそうに小指を立てて見せて来る
恋人と言うことか

「いや…そうではないのだが。その女性に似合いそうだと思ってな」

「そうかい、そうかい。でもなぁ、綺麗な物を見た時に見せたいと思う人だったり、この襟留が似合いそうだとすぐに思い浮かぶ人ってのは…旦那にとって特別な存在だってことなんだろうよ。」

この襟留を見た時、真っ先に薫さんの顔が浮かんだ
薫さんは、虹色の輝きをどんな顔で見つめるだろうか
そう考えただけで、嬉しくなる
それは薫さんが大切な友人の1人であるからだ

「そうだな!特別に大切な人だ!ご主人これをその女性への土産に頂くとしよう!」

「ハッハッハッ!いいねぇ!威勢がいいのは嫌いじゃねぇ!よし!まけてやらぁ。」

襟留を手に店主は奥へと入って行った
その背中からも上機嫌な様子が伝わってくるようだ
何か勘違いされたような気もするが…
店主の心意気に悪い気はしない


待ってる間、通りを行き交う人々を眺めた
穏やかな時間が流れている
賑やかな生活音、談笑する声が心地よく耳に届いて来る
人々は笑顔を浮かべ、通りを過ぎて行く
そこには肩を寄せ合い、頬を紅く染める2人
恋仲なのだろう

その2人に重なる薫さんと自分の姿
一瞬の出来事だった
我に帰った瞬間、霞のようにぼやりとその姿は消えていった

「なぜ俺と薫さんが…」

相変わらず肩を寄せ合う2人の背中を見つめながら、二度三度と瞬きをした
俺は、薫さんと恋仲になりたいのか…?

彼女を見れば特別な感情が湧き出ることは確かだ
しかしそれは、美しい花を見た時のような感動に似たようなものだ
彼女は美しい
そして儚い
すぐに散ってしまう桜のようだ
俺は、薫さんがいつまでも美しく咲いていられるように守りたいと思った
それだけだ



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