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綾なす愛色【鬼滅の刃】

第2章 優しい約束、哀しい約束






「だ、だ、だって!そうゆう事は好きな人にするものでしょ!」

こいつはちゃんとわかってる
体を合わせるの簡単だ
なら口づけはどうだ?
そう簡単にはできねぇ

なんでだろうなぁ?
口づけは、想いを封じる為にするからだ
薫はちゃんとわかってる
好きな人にするもんだと言った薫は、特別なもんだと心得ている
こんなちっせぇ事にも嬉しくて堪らねぇ

「へぇ?俺が好きな人にするような事をしようとしてたってか?」

真っ赤に染めた顔の薫は、男を知ったとは思えねぇくらい初心だ
思わず揶揄った俺に、今度はしょぼくれた顔を見せてくる

薫といると楽しいんだ
飽きることがねぇ

「私の勘違いでした…もう、いじめないでよ…」

他の野郎には見せたくねぇ
上目で見るその顔も
もじもじ動かすその手も
俺だけのものにしてぇ

だが優しく扱わねぇと薫は壊れる
薄いガラス細工のようだ
一度壊れりゃ元には戻れない

少しずつでいい
距離を詰めていく
薫には今までの常識は通用しねぇんだ
手探りでも、時間がかかっても
必ずその孤独の鎧を脱がせてやる

その為にも今は…
薫との距離を見誤っちゃいけねぇ

「わりぃ、わりぃ。天然ちゃんは揶揄いたくなるのよ。さてそろそろ煉獄が来る頃だろう。薫はちゃんとそれに着替えて来いよ?玄関で待ってるからよ」

踵を返して部屋を出る
ここにいたら俺は何するかわからねぇ
廊下を数歩進んでその場にしゃがみ込んだ

「あっぶねぇ…」

とちるとこだった
下ろした髪を握りこみ頭を抱えた
すると香るのは薫の香りだ
後ろから抱き込んだ時に付いたんだろう

「まだ早ぇって」

そのせいか、心臓が落ちつかねぇ
鼻腔にこびりついた薫の甘ったるい香りが俺を狂わせる
煉獄の足音がすぐそこまで来てるっつうのに

「どうしたもんかな…」

でかいため息しか出てこねぇ
大切に守りたい気持ちと、自分のものにしたい欲がせめぎ合う

何事も迷わず判断してきた方だ
鬼殺において判断の遅れは致命的だからだ
それは私生活においてもそうだった
それが今の俺は…まるでなってねぇ

情けねぇな


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