第2章 優しい約束、哀しい約束
ショウジキニイッテモイインダヨ
いやいやいやいや
待てよ
これの答えは何が正解だ?
—あぁそうだ。俺はお前が好きだ
—時間をくれ。まだ答えられねぇ
—そりゃお前の勘違いだ
どれも不正解にしか思えねぇ
薫を好きだと言ったところで、薫に拒絶されたらどうする?
薫は友達が欲しいんだ
男が欲しいわけじゃねぇだろう
「ちょっと待て、話が読めねぇ」
これが一番いい答えだろう
薫は顔が引き攣った俺から視線を外し、今度は鏡の中から俺を見る
「天元さん…杏寿郎さんのこと好きなんでしょ?」
何を言うかと思えば、とんでもねぇ事を言い出した
俺が?煉獄を?好きかって?
どこをどう見たらそうなる?
いや待て、傍(はた)から見たらそうなのか?
俺は煉獄を好きだと周りの奴らからも勘違いされてんのか?
確かに煉獄とは気が合う
だがそれは色恋の好きではねぇ
「おいおいおい!そりゃ、好きか嫌いかって訊かれりゃ好きの部類に入るだろうが、薫が言う好きは色恋の好きだろ?」
「うん。そっちの好き。恥ずかしいの?人を好きな気持ちに恥ずかしいなんてないんだよ?相手が同性だって」
あぁ…そうか
こいつは、好きの種類をそんなに知らねぇんだ
「はぁ…お前なぁ。盛大に勘違いしてるわ」
それにしても盛大な勘違いに気が滅入る
これじゃちっとも進まねぇ
いや…俺がらしくねぇんだ
こいつの前で慎重になりすぎてる
「ごめん…なさい。私てっきりそうだと思ってた」
そんな顔させたいわけじゃねぇんだ
お前に勘違いされるのがキツい
「俺はなぁ…いや、いい」
つい口が滑りそうになった
思わず項垂れ小さく首を振る
薫の肩に額を乗せる格好になった
柔らかい香りは、俺を落ち着かせるどころか、さらに薫へと溺れさせて行った
ずっとこうしていてぇ
俺の願いが通じたのか小さい薫の手が俺の頭に乗った
「何?言って?好きな人いるの?私に応援できることある?」
好きな人…か
目の前にいる
そう言えたら楽になるのか?
今の関係が壊れる以上に怖いことがある
薫を混乱させることだ