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綾なす愛色【鬼滅の刃】

第2章 優しい約束、哀しい約束





髪を束ねて項が出るように持ち上げた
杏寿郎さんの指で1つずつぼたんが閉められていく
ほんの一瞬、杏寿郎さんの指先が項に触れた
そんな些細なことに私の体は大きく跳ねてしまうんだ
たった3つしかないボタンを閉めるのに、こんなにドキドキするなんて

「よし!閉じられた。髪を下ろすといい」

全部の神経が項に集まってたと思う
髪を下ろしていいと言われても、体が固まって動けなかった
杏寿郎さんは、そんな私の髪を掬ってそっと下ろしてくれる

「ありがと…杏寿郎さん」

そっちを向けないよ
ボタンを閉め忘れた挙句、杏寿郎さんに閉めてもらって
指先が触れてドキッとしたなんて
きっと今顔が真っ赤だもん

「うむ。今日は洋装か!良く似合っている」

そんな私のことなんてお構いなしに、覗き込んでくるからタチが悪い

「こんな格好するの初めてなの。だからボタンも閉め忘れちゃって…本当恥ずかしい」

お願い!
今は穴に入らせて

「そうか!初めてを見せてくれているのだな?それは嬉しいことだ」

でも杏寿郎さんは、私の負の感情を全部前向きなものにしてくれる
そっか…初めてを見てもらってるんだ
ちゃんとおめかしできたかはわからないけど…
天元さんも杏寿郎さんも褒めてくれたんだから、きっと大丈夫

「ありがとう!杏寿郎さんも今日の着物とっても素敵!」

えんじ色に白い羽織
すごく上品で、ただ座っているだけなのに絵になるね
天元さんと同じで、いつもと違う雰囲気の杏寿郎さん
今日の私の心臓は忙しい

「隊服ばかり着ているのでな。君と並ぶに相応しいか心配だったのだが、そう言ってもらえたなら安心だ!」

私の言う事で安心してもらえるなんて、不思議な気分だ
ずっと独りだったから…誰かの為になるとか、誰かを励ますとか
そんなことなかった
だから、嬉しいんだ
私の一言で安心してくれる
普通の人からしたらきっと些細なことなんだと思う

「杏寿郎さん!見て!やっぱり晴れたでしょう?」

私は嬉しくて両手いっぱい空に伸ばす
鳥達は自由に羽ばたいて、小さな雲が気ままに流れていく
そんな今しかない一瞬が愛おしいんだ

「海日和だな!」

「なんてったって晴れ男が2人いるからなぁ」

天元さんも縁側に顔を出して、いよいよ出発の時間

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