第2章 優しい約束、哀しい約束
振り返ってじっと天元さんを見る
天元さんの瞳に映っているのはきっと……
「なんだ?」
「…好き?」
「はぁっ?何だよいきなり!」
焦ってる
やっぱり…
「正直に言っていいんだよ?」
「ちょっと待て、話が読めねぇ」
私は天元さんを見つめていた視線を鏡台の鏡に移す
見つめられてたら、言いたいことも言えなくなっちゃうからね
「天元さん…杏寿郎さんのこと好きなんでしょ?」
鏡越しに見る天元さんは、やっぱり綺麗だ
でも、私の問いに綺麗な顔が崩れていった
「おいおいおい!そりゃ、好きか嫌いかって訊かれりゃ好きの部類に入るだろうが、薫が言う好きは色恋の好きだろ?」
そうだよ?
だって、いつも一緒だし杏寿郎さんといる時の天元さんは凄くいい顔してる
「うん。そっちの好き。恥ずかしいの?人を好きな気持ちに恥ずかしいなんてないんだよ?相手が同性だって」
「はぁ…お前なぁ。盛大に勘違いしてるわ」
あれ…
間違えたかな
天元さんは大きなため息をついて項垂れた
さらっと銀髪が落ちて、私の首を擽る
男の人なのに、いい香りがするんだ
「ごめん…なさい。私てっきりそうだと思ってた」
「俺はなぁ…いや、いい」
大きな体を丸めて私の肩の上で小さく首を横に振る天元さんは、ちょっとだけ可愛い
「何?言って?好きな人いるの?私に応援できることある?」
私は天元さんに助けてもらったんだ
今度は私が頑張る番
そっと手を伸ばして、天元さんの頭に手を乗せてみる
「辛い恋してるの?」
天元さんはぴくっと体を震わせた
私の言葉に反応したのか、頭に手を乗せたからかはわからない
「んー?まぁ…そうだな。辛いっつぅか、身動きがとれねぇっつうか」
「そっか…天元さんも大変なんだね。百戦錬磨だと思ってた」
こんな色男を放っておく人がいるんだ
天元さんに好かれるなんて、幸せだと思うのにな
「俺も初めてよ。こんな鈍感で天然でふわふわして気づかねぇやつ」
「鈍感なんだ…天元さんの表現が足りないとかはないの?」
「そうかもな。もっと積極的にいかねぇとだめかもしれねぇなぁ?」
ふと、天元さんは顔を上げて鏡を見ていた私の顔を天元さんの方に向かせてきた
くっつきそうな距離に天元さんの顔
ちょっとでも動いたら…唇がついてしまいそう