• テキストサイズ

綾なす愛色【鬼滅の刃】

第2章 優しい約束、哀しい約束





約束の日まで指折り数えながら過ごした
天元さんと杏寿郎さんとたまご焼きを食べた日から
私は比較的穏やかに過ごしていたと思う

重い雨戸を力いっぱい開けた
通り抜ける風を吸い込むと、更に期待に胸が高鳴る

今日は快晴
雲ひとつない
絶好の海日和

「んー!!いい天気」

身体をいっぱい伸ばして、植物になったつもりで太陽を浴びる
縁側から見える景色が、今日はいつもより鮮やかに見えた

天元さんと杏寿郎に出会ってから
私の世界には色がついたんだ
くすんでいた世界が、色鮮やかに輝いている

空も花々も、山も森も
こんなに美しかったんだと教えてくれる

太陽からの光は、それら全てを更に美しく照らしてくれている
どこを見てもキラキラとしていて、初めて生きていて良かったって思えたんだ

「天元さん!杏寿郎さん!晴れたね!」

つい洩れたひとりごと
手を太陽に伸ばしてみた
日の光が嬉しいなんて思えたの、いつぶりかな
手のひらがじんわり温かい

私はずっと夜の闇に紛れて生きてきたから
あまりに突然太陽の下に引き出されて、戸惑いがないと言ったら嘘になる
でも…凄い気持ち良いんだ

庭のお花達の気持ちがわかった気がする

「あっ!もうこんな時間。支度しなくちゃ」

箪笥の引き出しを開ける
驚く程地味…
華やかな着物は持っていない
海…だしな

着物をかき分けて、箪笥の引き出しの下の奥から引っ張り出したのはワンピース
一度も袖を通したことはない
お母さんが若い頃一目惚れして買ったって聞いた
結局お母さんも着る事なくこの古びた箪笥の肥やしになっていたわけだ

「うーん…似合わないよね…」

大きなため息を一つ
ワンピースを合わせてみるけど、どうにも似合わない
鮮やかな青のワンピース
袖は丸く膨らんでいて、レースがあしらってある
白い大きめの襟にも控えめなレース

鏡台の中の自分と睨めっこ

「はぁ…やっぱりやめとこ」

「すげぇ似合ってるのになぁ?着てくれねぇの?」

突然後ろから声がする
穏やかだった心臓が一気に喉の辺りで鳴り出した

「ひゃっ!何っ!?」

驚きのあまり、ワンピースを放り出して振り返るといつもの装いとは違う天元さんが壁に背を預けて立っていた

「天元さんっ!?いつから…そこに?」



/ 73ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp