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綾なす愛色【鬼滅の刃】

第2章 優しい約束、哀しい約束




薫さんは、宇髄が女性をコロコロと手のひらで転がしそうだと言った
だがどう見ても、宇髄が転がされているように見える

あんなにも必死な宇髄を見たことはない
鬼相手ですら余裕を見せている男だ

「天元さん!杏寿郎さんをいじめちゃダメよ?」

「はっ?なんだよ。お前、煉獄の肩もつのかよ?あーあっ。俺悲しくなっちゃうなぁ」

宇髄は薫さんの心の掴み方を知っている
目の前の2人の様子に、俺は小さな嫉妬を覚えた
気兼ねなく言い合える2人が
羨ましいと思ったのだ

「薫さん!」

「ん?」

「なんだよ煉獄。でけぇ声で」

なんだ…?
俺は何を言いたかった?

「いや…、その…あれだな…今日は天気がいいな!」

見上げた空はちょうど雲が太陽を隠したところだった
違うんだ
俺は…俺にも君の笑顔を見せて欲しい
そう言いたかっただけだ

「杏寿郎さん?どうしたの?顔が引き攣ってる…おにぎり足りなかったかなぁ?」

宇髄と見合っていた薫さんは困り顔で俺を見た
一方宇髄はと言うとニヤニヤと何か言いたげに俺を見ている

「そうかもな。煉獄には薫の作った握り飯が足りねぇみてぇだ」

「やっぱり!ちょっと待ってて!まだご飯あるから作ってくるね」

「いや…そうだな。頼んでも良いか?」

一旦足を止めた薫さんは振り返り、俺を見て満面の笑みを見せてくれた
願っていた通り、笑顔を見せてくれたわけだ
しかし気持ちは晴れない
雲のかかった太陽のようだ

「おい、煉獄。らしくねぇな」

薫さんの後ろ姿を見送る俺を宇髄は肘でつついた
含みのある言い方に思わず眉をひそめると、宇髄は口角を上げてニヤリと笑う

「お前も人の子ってことだ」

「宇髄…君は楽しんでいるのか?」

「いんや。煉獄も可愛いーとこあんなぁと思ってよ。そう言う欲とかなさそうに見えるしな」

「そう言う欲?とはどう言う欲だ?」

宇髄はニヤニヤと笑うのみで俺の問いに答えなかった

「まぁ…俺は遠慮はしねぇよ?」

「さっきから君の言う事の意味がわからない」

「そんならそれでいい。お前にもわかる日が必ず来る。そう遠くない内にな」

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